モスクワ世陸・男子400mH決勝展望

moriyasu11232013-08-15

Men 400-Metres Hurdles Final Startlist
Lane1 Kerron CLEMENT(USA) 48.21(3組3着)
Lane2 Mamadou Kasse HANNE(SEN) 48.69(1組3着)
Lane3 Michael TINSLEY(USA) 48.31(2組1着)
Lane4 Felix SÁNCHEZ(DOM) 48.10(SB:3組2着)
Lane5 Omar CISNEROS(CUB) 47.93(PB:3組1着)
Lane6 Jehue GORDON(TRI) 48.10(1組1着)
Lane7 Javier CULSON(PUR) 48.42(1組2着)
Lane8 Emir BEKRIC(SRB) 48.36(SB:2組2着)
※準決勝記録および着順

昨年のロンドン五輪ファイナリストのうち5名(クレメント、ティンスリー、サンチェス、ゴードン、クルソン)が決勝に駒を進める一方、銀メダリストのグリーン(GBR)や五輪・世陸の表彰台常連のジャクソン(USA)らの有力選手が準決勝で敗退。
ロンドン五輪は、48.23秒で落選するなど準決勝通過の平均記録(準通記録)が48.09秒という稀にみるハイレベルとなったが、今大会は五輪および世陸における準通記録としては概ね標準的なレベル(平均48.23秒、最低記録48.69秒)に落ち着いたといえる。
1レーンのクレメント(27歳)は、05年ヘルシンキ世陸で為末大氏にラストでかわされ4位となった後、07年大阪世陸1位(47.61秒)、08年北京五輪2位(47.98秒)、09年ベルリン世陸1位(47.91秒)と順調にキャリアを積んでいたが、11年大邱世陸では準決勝で敗退し、ロンドン五輪では決勝には進むものの最下位(49.15秒)。ラストの直線の歩数切り替え(13歩→15歩)でもたつく癖?を克服できるか(今大会の準決勝はオール13歩)が表彰台への課題となるだろう。
2レーンのアンヌ(26歳)は、ロンドン五輪では準決勝で敗退(48.80秒)したが、今年のダイアモンドリーグ(モナコ)で48.50秒のPBをマークして4位に食い込むなど、好調を維持しながら初の世界大会ファイナルまで駒を進めてきた。
3レーンのティンスリー(29歳)は、世界トップレベルの実力をもちながらも一昨年まで王国アメリカの3人枠という高いハードルに跳ね返されていたが、全米チャンピオンとして初の世界大会出場を果たしたロンドン五輪では見事に銀メダルを獲得(47.91秒)。今年も全米選手権を制しており、王国アメリカの顔として今年こそは表彰台の中央に立ちたいところだろう。
4レーンのサンチェス(35歳)は、01年エドモントン世陸から04年アテネ五輪まで36連勝を果たして以降、度重なる故障に見舞われ47秒台の走りはもう難しいのではと思われていたが、ロンドン五輪では持ち味の“前半型”を見事に復活させて奇しくもアテネ五輪と同タイム(47.63秒)で金メダル獲得。ベテランらしく準決勝でSBをマークするなど、世陸本番に向けて上手く調子を上げてきた様子が窺える。
5レーンのシスネロ(23歳)は、09年ベルリン世陸(49.21秒)、11年大邱世陸(50.10秒)、ロンドン五輪(48.23秒)でいずれも準決勝敗退。今大会では準決勝で47.93のPBをマークし初めてファイナルまで駒を進めてきており、好記録をマークしながら惜しくも決勝進出を逃したロンドン五輪の鬱憤を晴らすレースが期待される。
6レーンのゴードン(21歳)は、ファイナリスト最年少であるが、10年世界ジュニアで安部孝駿選手の追撃をかわして優勝(49.30秒)する前年の09年ベルリン世陸において既にファイナリストの仲間入りを果たしている(4位:48.26秒)。その後、11年大邱世陸では準決勝敗退(49.08秒)、ロンドン五輪では準決勝で初の47秒台(47.96秒)をマークするものの決勝は6位(48.86秒)と、あと1歩のところで表彰台を逃し続けている。今季は直前のダイアモンドリーグ(モナコ)を48.00秒で制するなど安定感も増しており、シニア初の表彰台はもとより金メダル候補の最右翼といっても過言ではないだろう。
7レーンのクルソン(29歳)は、09年ベルリン世陸(48.09秒)と11年大邱世陸(48.44秒)で銀メダル、ロンドン五輪でも銅メダル(48.10秒)を獲得するなど今や表彰台の常連選手。今季はロンドン五輪前に47秒台を複数回マークしたような勢いはないが、前半から積極的なレースを展開して内側の選手達を焦らせることができれば十分チャンスはある。
8レーンのベクリッチ(22歳)は、ゴードンや安部孝駿選手も出場していた10年世界ジュニアで7位(51.06秒)になって以降、11年大邱世陸(49.94秒)、ロンドン五輪(49.62秒)ともに準決勝敗退しているが、今大会の準決勝で昨年までのPB(49.21秒)を大幅に縮めて(48.36秒)見事にファイナリストの仲間入りを果たした。
というわけで、最年長と最年少の歳の差「14歳」というのは相変わらずだが、サンチェス以外は全員20歳代で、3名の選手が世界大会ファイナル初出場を果たすなど、五輪翌年の世界陸上らしい新旧交代を予感させる顔ぶれとなった。
ここで神をも畏れぬ恒例?の順位予想。

1位 Jehue GORDON(TRI)
2位 Michael TINSLEY(USA)
3位 Felix SÁNCHEZ(DOM)
4位 Omar CISNEROS(CUB)
5位 Javier CULSON(PUR)
6位 Emir BEKRIC(SRB)
7位 Kerron CLEMENT(USA)
8位 Mamadou Kasse HANNE(SEN)

当たるも八卦、当たらぬも八卦
八(8)人で走るレースの行方の予想することの愚を言い当てた表現ともいえる。
レースは日本時間の16日早朝(2:00am)スタート。
お見逃しなく!