初!瀬戸大橋!

moriyasu11232010-02-17

14日〜16日まで、喜界島と同様のヒアリングを行うため、香川県および山口県に出張。
15日の午前中、香川大学Y先生の愛車にて、観音寺市にある柞田小学校を訪問(ふたたびその1)。
校長先生および2名の教頭先生(いずれも体育がご専門)から、子どもの基礎的動きに関する質的評価を実施し、両教頭先生の評価結果と、体育主任の先生方および体育指導に不慣れな先生方のそれとが、どのように一致し、またずれているかについての大変貴重なデータをご提供いただく。
ヒアリング中に、校長先生が「(長年の経験から)学力と体力には相関関係があると確信しているが、だからといって<学力のために身体を動かそう>というようなことは言いたくない」とおっしゃる。
激しく首肯するコメントである。
しかし一方で、そのような「呼び水」が、運動・スポーツ活動にほとんど関心のない層にアプローチする「きっかけ」になるという効果も無視はできない。
畢竟、その「矛盾」に引き裂かれながら、より効果的な方法について模索するほかないのだろう。
2時間ほどのヒアリングを終えて、観音寺駅から「特急しおかぜ」に乗り込み、前回は下から眺めた瀬戸大橋を渡って岡山へと向かう。
岡山で新幹線に乗り換え、15時前には新山口駅に到着。
山口大学T先生の新車で、萩市にある椿西小学校に向かう(ふたたびその2)。
ここでは、若手の先生方(4人)から、実際に子ども達の動きの評価を実施した感想や、プログラム化するためのアイデア等についてのご意見を伺う。
体育主任の先生が「(動きを質的に評価するのは大変難しいが)作業を進めていくうちに、例えばボールを投げる前の構えからその後の動きが予測できるようになるなど、自身の動きを観察する目が少しずつ変化してきた実感がある」とおっしゃる(他の先生方もうんうんと頷かれる)。
しめしめ…
それこそが、このプロジェクトの本来的な「ねらい」である。
動きを観察する「目」を獲得する術は、動きを観察すること以外にはない。
そして、その観察をより効果的なものにするための「観点」を提示するのが、このプロジェクトの目的なのである。
今回のヒアリングから、このような取り組みの意義や重要性およびその効果については、現場の先生方にも十分にご理解いただけたという感触が得られた。
しかし同時に、現場の教員がペーパーワーク等で多忙すぎること、昨今の学力重視の風潮によって「体育」「身体活動」のプライオリティーが下がっていること、さらにその結果、教員個人だけではなく組織としてのモチベーションも高まらないため学内研修なども企画しにくいこと、などが共通の問題として挙げられていた。
そして、我々のミッションは、それを乗り越えるためのプログラム開発にある。
そんな「プログラム」あるんかいな(とほほ…)。
・ ・ ・
今回訪問した小学校は、いずれも廊下や教室が木造である。
校舎の中は、檜の香に包まれており、とってもヒーリングな感じである。
廊下は、思わず走ってみたくなるくらいに広い(子どももやっぱり走るらしい…)。
ヒアリングを終えて校長室を出ようとしたとき、扉がなかなか開かなかった(by柞田小学校)。
教頭先生が扉をこじ開けながら曰く、「(木が生きているので)湿気が多いときなど、時々引っかかったりする」とのこと。
改めて言うまでもないが、子ども達も「生き物」である。
できたての木製扉と同じように、伸び縮みしたり、ときに引っかかったりしながら、少しずつこの「世界」に馴染んでいくのである(それを成熟と呼ぶ)。
子ども達の微妙な変化を看取する能力は、そう簡単に身につくものではない。
しかし、その難しさを理解した上で、それを志向する先生方が少なからずいるのも事実であり、それをサポートするのは、教育行政はもちろん我々の社会全体に課せられた使命でもある。
関係者の皆様、ありがとうございました。