家事はやっぱりジプキン

家族が寝静まってから、大量の洗濯物を全自動洗濯乾燥機(以下、洗乾機)に入れてスイッチオン。
金曜日は、子ども達が保育園から布団カバーやシーツなどを持ち帰る日なので、いつにも増して量が多い(当然一度では終わらない)。
とりあえず脱水が終わるまでの時間を使って、干してあった洗濯物をたたみ、Yシャツたちにすいすいとアイロンをかける。
今夜のBGMはこれ↓

ジプシー・キングス

ジプシー・キングス

ジプシー・キングス(以下ジプキン)の記念すべきファーストアルバムだが、実は私が人生で最初に購入した「ファーストCD」でもある。
学生時代、パチンコで大勝ちし、再びパチンコに飲み込まれないようにとCD playerとこのCDを購入した。
ちなみに、人生で最初に買ってもらったレコードはゴダイゴのアルバム「マジックカプセル」、自分の小遣いで購入したのは久保田早紀の「異邦人」だった。
私は知る人ぞ知る(たぶん2〜3人)大の時代劇フリークであるが、その私と高校陸上部の同級生T君(高1の秋から陸上を始めて3年の北海道インターハイ400mハードルで6位入賞した強者)がこよなく愛するのが、池波正太郎原作の「鬼平犯科帳」。
このエンディングに使われていた曲が、6曲目の「inspiration」。
江戸の簡素な美しさを表現した映像のバックにこの曲が流れてきたとき、全身に鳥肌がたったのを覚えている。以来(パチンコで大勝ちするまで)、ファーストCDはコレと決めていた。
早速、「inspiration」をかける。ん〜とってもよい。
ジプキンを好きな人に悪い人はいない(たぶん)。
閑話休題
全自動洗乾機はかなりの優れものだが、ものによっては乾燥まで入れておくとシワシワになってしまうので、脱水が終わった時点で峻別し、さくさくと部屋干しする。
この半自動洗濯のひとときが、テクノロジーに飲み込まれていない自分を確認し、ホッとできる瞬間でもある。
気がつけば丑三つ時(午前二時)。
「あらいやだ、もうこんな時間」・・・どういうわけか、アイロンがけをしたり、乾いた洗濯物をたたんだり、「床に腰を下ろして」家事をしているときの気分は「母」である。
こういう仕事をまったく経験しないまま一生を終える人もいるのだろうが、「何か」に触れ損なったことにはならないのかなと思ったりする。
どれほど掃除しても、毎日のように埃は溜まってゆく。いくら洗濯しても洗濯物はなくならない。
そこそこに秩序を維持するためには、絶えざる家事行動が必要となる。とくに達成感があるわけでもないし、賃金も払われないし、社会的尊敬も向けられない。
けれども、誰かが黙ってこの仕事をしていないと、家庭の秩序は崩壊してしまう。
世の中には、「誰かがやらなきゃいけないんなら、自分がやる」というふうに考える人と、「誰かがやらなきゃいけないんだから、誰か(他人)がやるだろう」と考える二種類の人がいる。
そして前者に分類される人が必ずいたので、社会の秩序は保たれてきたし、これからもそういう人は必ずいるだろうから、引き続き秩序は保たれるはずである。
でも、自分の努力にはつねに正当な評価、代償、栄誉が与えられるべきだと考える人は家事的仕事には向かわない。
適性云々以前に、彼らは「そんな仕事」が世の中に存在することさえ想像できないからである。
掃除や洗濯やアイロンがけなんて金を払って「アウトソーシング」をすればいいじゃないか・・・というような発想でものを考えるひとたちは、「母」の心に去来する涼しい使命感とはおよそ無縁なのだろう。