博士も記者もインチキ?

moriyasu11232008-01-31

読売新聞がやらかしたらしい、と毎日新聞が報じている(ややこしいな)。

読売新聞東京本社は30日、27日付石川県版に掲載した金沢大教授らの学位を巡る記事で、金沢支局の男性記者(30)が大学に確認取材を行わないままインターネット上の情報を基に、大学に取材したかのように執筆したとして、この記者を懲戒処分(休職1カ月)にすることを決めた。
同本社広報部などによると、この記事は金沢大医学部の男性教授と女性准教授が、米国の非認定大学の学位を経歴として使っていたことを報道。28日に大学側が「取材を受けていない」と同社に抗議し発覚。同社が調査し、この記者は同月26日、ネット上の他紙の報道や同大の広報資料などで記事を執筆したことが分かった。
読売新聞東京本社広報部の話 新聞記者としてあるまじき行為であり、二度とこのようなことがないよう記者教育を徹底する。
(2008年1月31日 毎日新聞

それを欲しいという人がいれば何でもビジネスになる昨今、学位(正確に言うと博士の学位)を買いたい学者がいれば、それを売ろうとするビジネスマインデッドな大学があってもなんの不思議もない。
いまメディアに取りざたされている以外に「げ!やば!」と思っている人も少なからずいるだろう。私はもってないので平気の平左である(別の意味でやば!)。
ことの真偽はさておき、「取材したかのように執筆した」ことは「新聞記者としてあるまじき行為」であることは間違いないらしい(だって新聞社がそういってるから)。
「取材して執筆した」って「事実と違う」記事書いていることあるじゃん、今さら記事にする程のことかよ、ごにょごにょ…と知りうる限りの事例を詳らかにしたい衝動にかられるが、長くなるので稿を改めることにする。
それにしても「新聞記者としてあるまじき行為」という言葉は、聞けば聞くほど(読めば読むほど)脳に保存されないフルタチイチロウ的な言葉である。保存されると困るので、わざとそうしてると思えば腑にも落ちる。
話がそれた。さて、この記事から得られる教訓とは何だろうか?
それは「真贋(情報の恣意性)を見極められる<賢さ>を身につけようね」ということにつきるだろう。別の言葉で言えば、匂いや味で賞味期限(消費期限)を見極めるような感覚を身につけるということか。
社会学者の宮台真司は、「メディアリテラシー」を「文脈への敏感さ」「文脈を参照することで内容を割引く能力」であると表現する。
例えばマスコミは大資本だから、少なからず儲けるという経済ロジックが文脈になる。
他方、世間が空洞化した昨今、人々が不安を煽られやすいという情報の受け手の文脈もある。
不安を煽られた人は、情報がほしくてメディアに接触するため、テレビや新聞が不安を煽って視聴率を上げ、広告収入を上昇させるという行動が予想できる。
あおるメディアや企業…不安におののく大衆。学位を買おうとする学者…「大学教授」「博士」という肩書きで信憑する大衆。
全ては共犯関係にあるということを、肝に銘じる必要があるだろう。